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御伽アンダンテ【HQ】【裏】

第6章 水没した夢幻城


梅雨入りしたと朝から鬱陶しくニュースでやっている。
バレー部には全く関係ないが、外での部活動が講堂や体育館で筋トレをし出すので、まともな練習が休みがちになるのはストレスである。
そんな大嫌いな季節がやってきたが、今年はそんなに気にならなかった。
それは、終わってから一緒に帰ってくれる彼女の存在が大きい。
付き合い始めと変わらず、俺達は特に何をするとなく続けてきた。
それは、やはり、相変わらず脆い彼女の存在が心配でならなかったからだ。
我慢は、しているとは思う。
それでも、健気に待ってくれているこの姿を裏切ってはいけないと、自分に強く言い聞かせた。
「お疲れ様」
「ああ」
「今日、ご飯、食べてくれる…?」
時折、はこうして誘ってくれる。
それがたまらなく愛おしい。
「いただこう」
そう言うと、光が射すように笑う。
小さな身体に釣り合わない大きな傘を持って、いつもより早足で帰る。
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