第5章 論理上異性交遊
他愛もない話をして、夜もすっかり更けてしまった。
たくさん声を出したせいか、が咳き込むので薬を取って飲ませた。
薬の紙袋がパンパンに膨らんでいるのを、俺は見たことがなかった。
週2日でこれを毎週飲みきるのか…と少しげんなりする。
「ありがと……」
あと僅かな命。
なんとなく、その言葉が反芻する。
「悪いな、長い時間邪魔した」
「ううん、また、来てね」
「明日も迎えに来る」
「……うん」
別れを惜しむように口付ける。
身長差を埋めるように背伸びをしてくるのが愛くるしい。
つい舌を入れて、口内を弄んでしまう。
「…ふ、ん…」
とたまに漏れる息が、頭を痺れさせてくる。
きゅっと小さな手が袖を引いて、高揚してついの後頭部に手を回してしまう。
衝動的に激しさを増すと、小さな声が上がる。
「んん……ぅ……」
(これは、まずい)
そっと離して、優しく頭を撫でた。
さらさらとした髪が手に通る。
「また明日」
「…うん、き、気をつけて…」
消え入りそうな声で言われる。
振り向いたら襲ってしまいそうな、そんなはしたない自分が嫌になる。
(大人になれ)
言い聞かせてそのままアパートを後にした。