第5章 論理上異性交遊
確かにあの日、俺はきちんと確認を取ってから初めての性行為に及んだ。
今思い返してもあまりに不様で、次はきちんと順を追って、などと考えてはいた。
その、あまりに甘美な身体は1度では飽きたらず、また早くも貪りたいとは思う。
が、その気持ちは天童の一言で呆気なく崩れ去る。
「で?付き合ってんの?」
「………」
その質問をされて、俺は着替えながらしばらく考えた。
付き合う。
男女交際をしているか、どちらかと言うとノーだ。
これは俺の一方的な想いであり、先日の行為も、俺の一方的な我が儘だったからだ。
そして次に襲ってくるのは、罪悪感だ。
もし、俺が脅したからが了承していたのであれば、それは強姦ではないだろうか。
あの繊細すぎる身体に大きな負荷を与えてしまったことに恐怖すら覚える。
「若利くん、顔色悪いよ…もしかして…」
「付き合ってはいない」
「……」
それは、最大限考えての答えだった。