第10章 家族旅行
正臣「幸せ者だね、絵麻ちゃんは」
『え…?』
正臣「自分の為に物語を作ってくれる妹が居るなんて幸せだよ」
僕がそう微笑みかけるとちゃんは少しだけ暗い顔になる
『…そうだと…いいな…』
ポソッと呟かれた言葉はまるで懇願してるようで
やっぱり踏み込ませてはくれない
『あ!流れ星ですよ!』
ほらと微笑むちゃんは両手を自分の胸元へ持っていき目を閉じる
『……ちゃんが……で…ます…』
波の音で聞きにくかったけど
──お姉ちゃんが幸せでありますように──
自分のことより絵麻ちゃん
この子はいつになったら自分の幸せを祈れるのだろうかと思い
僕はちゃんの真似をして静かに願った
どうかちゃんが幸せになりますように
と
正臣 side終