第1章 Summer #1
side Kazunari
カントクちゃんが喜びそうだな〜と思って並んだワゴンのカレーパン屋。
まっすーにバレたらやばそ〜…。と思いつつ。
そしたら、この間の試着室の女の子が、いた。
見間違いなんてしない。
もう会えないと思ってた。ずっと後悔してた。
『ねぇ!キミこないだの子じゃない?
三好一成、覚えてないかな?』
いつもの笑顔で、
トモダチの多い"三好一成"を演じて、
声をかけた。
真面目でガリ勉のオレのままじゃ、声をかけることも出来なくて。
良かったと思いつつ、少し胸が痛んだ。
『あ、……そ、う、です。
覚えていてくださったんですか…』
そう答える彼女は決して
華やかなものではなかったけれど、
釘付けになったんだ。
いつもの"オレ"はこう答える。
『もちろん!ねぇ、名前聞いてもい?
連絡先交換しよ〜☆』