第1章 Summer #1
「もうー!どうしたのよ!
あの日からいづみ、ずっとおかしいよ?
一成くんだっけ?」
そう、あの日。彼、三好一成くんと出会った日。
自分でも信じ難い出来事だった。
今まで恋をするどころか、男の子に興味を持ったこともない。
そんな自分が一目惚れ?
いやいや、無いわ。
しかも相手はチャラそうな男の子で。
……でも、
『庇ってくれたんだよなぁ〜…』
「もう!なんなのよー!
ま、いいけど〜私これからデートだし。」
いい友達だけど、結構ドライだ。
『そうですか〜、私はひとり寂しく帰りますよ〜。』
嫌味っぽく言ってみた。
幸せそうな顔しやがって。
「じゃあね、いづみ。
そろそろいい男見つけなよ?」
.
.
カレーパンのいい匂いがする。
結局、色気より食い気か〜、実に自分らしい。
長蛇の列に並ぼうとすると、散々頭に思い浮かべたあの人がいた。
ど、うしよう!?!!
経験がなさすぎて声をかける勇気もない。
というか間違いだったら?
私は名乗ってないし洋服屋で一度会ったくらいじゃもう当たり前に忘れてるよね?
「ねぇ!キミこないだの子じゃない?
三好一成、覚えてないかな?」
不意に肩を叩かれた。
ずっとずっと、頭から離れなかった人。
ずっとずっと、会いたかった人。
『あ、……そ、う、です。
覚えていてくださったんですか…』
「もちろん!ねぇ、名前聞いてもい?
連絡先交換しよ〜☆」
正式に、"トモダチ"になりました。