第1章 太陽が輝く理由
アンスが口をきゅっと横に引き締めました。
「オイラも火種になる!」
「アンス!?」
「オイラ太っちょだから、きっとよく燃えるぞ!」
ぽんっと腹を鳴らしたアンスでしたが、その大きな足は震えていました。
「次の世代のため、なんだろ?」
テラレスの手に、また1つ種が増えました。
「俺も!」
「あたしも!」
「いっぱいいた方が成功率は上がるわよ!」
アステリも、イディアも、ヘリアンも手を上げました。
「みんな・・・。」
「我らがリーダーのために、地上のみんなのために、この命捧げましょう。ってか?」
みんな笑っていますが、どうしようもない程悲しげな笑顔でした。
「こんなのおかしいよ・・・。」
テラレスが泣きますが、誰も手を差し伸べません。
ましてやテラレスが「あたしも!」と名乗り出る事もありません。
「命を犠牲にするのを止められないあたしなんて、リーダーじゃないよ・・・!」
もうみんな分かっていたのです。
それぞれの役目を果たさなければならない事を。
葛藤や恐怖など関係ありません。
時間は無情にも変わる事無く進みます。
「頑張れ、次期長老!」
テラレスの手には、5つの種が握りしめられていました。