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【短編集】My Favorite【R18】

第7章 女王様は(彼目線)


『最期がこんなんとか…雄の役目を果たすことも許されなかったよ…。来世はもう、蜂の雄には生まれたくねぇな…じゃあな、レイ。』

そう言って、窓から夜の空へ飛び立った親友の後ろ姿が忘れられない。
ほんの少しだけ俺の方を振り向いて、自分を卑下するように笑った彼の横顔も。

(…俺はどうするべきなんだ……?)

窓に肘を掛けて一晩中考えても、答えは出なかった。

新たな一日が始まったことを、残酷に告げる朝日が憎い。
地平線から顔を覗かせた太陽に背を向けて、俺は自分の部屋に戻ろうと廊下を歩いていた。

そんな時、不運にも俺は…女王様が巣の中を行進している場面に出くわしてしまった。

「女王様、おはようございます!」

沢山の蜂から尊敬の眼差しを受け、気分が良さそうな彼女の顔を見ると腸が煮えくり返りそうだ。
時折雄たちの群れに目を向けて、蔑むように眉を顰めるあの顔も…。

俺はなるべく彼女に見つからないよう、隅の方で壁に凭れて息を潜めていた。

だけど、またまた不運なことに、背の高い俺はまんまと彼女の視界に入り込んでしまった。
彼女はパァと顔を綻ばせ、俺に向かって一直線に歩いて来る。

最悪だ……。

「ねぇ、あなた…名前は?」

「…レイですけど。」

すると彼女は、俺を舐め回すように上から下まで視線を這わせ、口元を歪める。

「ふぅん…顔もなかなか良いし、背も高い…気に入ったわ。あなた今晩寝室に」

嫌な予感が頭をよぎり、俺は彼女の言葉を遮って答えを出した。



お断りします――――――

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