第5章 「キミの棘、ボクのシルシ」
雨が降っている中、
イチゴは服や足に泥を付けて戻ってきた
「風邪ひくよ、…イチゴ」
ゴローはイチゴにタオルを投げ、
私は傘を持って待っていた。
「…ありがとう、ちょっと用事で。」
「あぁ。」
「………見てた?もしかして」
「うん、…ごめん。」
「謝らないで、ゼロ
…どうしたらいいか分からないんだ。
リーダーなのに幼馴染なのに…
私じゃ、ヒロを乗せられなかった。
私じゃ、ヒロを止められなかった。
でも今はアイツが居て、ヒロだってそれを…
でも私…私…何か変だ。」
「イチゴ…」
「私っ…私、嫌!!」
泣いているイチゴの背中を擦りながら、
彼女の話を黙って聞いていた。
「(幼馴染なのに、ヒロの体の状況も言えない私も最低に入るんだろうな)」
「嫌…さらにぐちゃぐちゃになる。
なんなの、これ……でも…ヒロッ……」
「イチゴッ…」
「……ゴロー、私イチゴを部屋に戻しておくから」
そうゴローに言い、
私は自分の部屋に泣いているイチゴを入れた
「……今日は一緒に寝よ、イチゴ。
私が側にいるから、……ね?」
「ありがとっ……ゼロ。」
こうして、2人で寝るのは何時ぶりだろう
雨の雫とイチゴの涙が何故かこんなにも
美しいと思ってしまう私は少しおかしいのかもしれない
そう思いながら、ゆっくり瞼を閉じた____________