第1章 クリスマス(鰤市)
一護は多少頬を染めながら、ニヤリと不適に笑った。
(んー・・・皆誘ってよかったな!なんか一護も笑ってるし!)
二人の思惑は、どこかズレていた。
「ふんふんふーん♪ふんふんふーん♪すっずっがー鳴るぅ~~~♪」
「それ、すでに鼻歌を超してるぞ。」
白のマフラーにベージュのロングコートを着た琢磨がご機嫌で鼻歌交じりに(無意識なのか口から歌詞が出ているが)一護と腕を組んで街を歩いていた。
一護としてはかなり恥ずかしい状態で、常に赤面状態だ。
しかしそこはやはり男の子。恥ずかしいがそれ以上に嬉しい!(こんな可愛いこっ・・恋人っつーもんがいる俺ってなんつぅ幸せもんだ!)なんてにやけそうになる顔を必死にいつもの仏頂面に保とうとしている(赤面している時点で失敗しているが)。
「なんかどこも綺麗でぬくぬくしてて幸せだねぇ~~!」
ニコニコ笑顔を振り撒いて、琢磨はますます一護の腕に抱きついた。
(はっ・・鼻血でそう・・・)
「あ!あそこ!あそこだよ!」
咄嗟に鼻を押さえてしまった一護に気づかずに、琢磨は目的地であるおしゃれな小物屋を視界に入れた。
「お!これルキアにどうかな!?」
「あ?・・・あー・・・いいんじゃねぇの」
この店には、皆へのクリスマスプレゼントを買いに来たのだ。
今琢磨が手にしているのは陶器でできた赤ちゃんの手のひらサイズの雪うさぎの置物。
「・・・ケイゴにはこれでいいか。あ、水色はこんな感じで。さつきにはこれ。織姫はこれかなぁ・・・チャドはこれとかぁ~」