第6章 誘惑
「ちょっと待っ…」
「はぁっ…、先輩…こうしてほしかったんでしょうっ…?」
「ぁっ、ぁんっ…」
後ろから激しく腰を打ち付ける。
互いに擦れ合う性器がどちらのものとも判らない体液でぐちゅっと卑猥な音を立てた。
「ぁっ…そ、そんなに激しくしたら…っ……」
「…もうイっちゃうんですか…っ…?ホントにエッチな人ですね…っ」
「ぁっ、あぁん…っ…」
無意識に出てくる彼女を責めるような言葉。
俺にこんな一面があったなんて自分自身驚いている。
(松崎なんかに先輩は渡さない…ッ…)
「先輩のペットは俺だけです…っ!」
「ぁっ、ん…半田くっ…!」
後ろから胸を掴み、綺麗なその背中に噛みつくようなキスをした瞬間、先輩は可愛い声を上げて達した。
びくびくと痙攣する太腿に挟まれながら俺も大量の精液を吐き出す。
「はぁっ…、」
どさりと2人でベッドに倒れ込んだ。
こんな事をしてしまって、俺はペット失格だろうか…
徐々に冷静さを取り戻し、次いで後悔の念に駆られる。
…けれどもう今更手遅れだ。
「…ふふ」
「……、先輩?」
不意に聞こえたのは彼女の笑い声。
恐る恐るその顔を覗き込めば、何故か悪戯っ子のような笑みを浮かべている。
「半田くんてホントに単純だね」
「なっ…」
「こんなあからさまな挑発に乗るなんて」
「……、」
そう言って彼女は俺の頬に触れてきた。
「私が松崎くんなんか相手にする訳ないでしょ?」
「…え……」
「あーんな頭空っぽそうな子」
「………」
酷い言いようだが、彼女のその言葉を聞いてホッとしている自分がいるのは確かだった。
「じゃ、じゃあなんであんな事…」
「ああ言えば怒った半田くんが私の事襲ってくるかなぁって」
「っ…」
「たまには刺激も大事でしょ?案の定半田くんは簡単に私の挑発に乗ってくれたし」
「……、」
急に頭が痛くなる。
結局俺は、最初から最後まで彼女の手の上で転がされていたという事か…
「でも半田くん…ホントに興奮してたよね?私が松崎くんに犯されるとこ想像して」
「だ、だってアイツは本当に…っ」
「…?本当に…何?」
「その……、先輩の事エッチな目で見てるっていうか……だから俺…心配で……」
「…ふーん……それで嫉妬したの?」
「っ…」
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