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鳥籠【R18】

第2章 #02


 学校を後にして連れて行かれた先はなんと八神のマンションだった。
歩いて十五分の距離にある。特に仲良いわけではない。
八神の悪い噂を聞いて絡まれたくなくて避けてきただけだ。団地にあるマンションの一室。
マンションの目の前にある公園。桜が花を咲かせている。
「母親は忙しいから、ほとんど一人暮らしみたいなもんだよ。俺は夕方にバイトしてる。」
「そうなんですか。八神さん私と同級生なのに苦労してたんですね。大変だったでしょう。」
 八神の事を聞かされ八神に同情する。
いじめられてる自分なんてちっぽけなものだった。
「私は普通に家族と住んでます…。」
「いいなァ…。俺んちなんて行方不明になった親父がヤクザだぞ。」
「や…やく…。」
 名前は震えて八神の目を見て後ずさりする。
「あーぁ。こわがられちったなァ。」
「あ、ごめんなさ…。なんか余計な事聞いちゃったみたいで。」
 謝る名前。八神は犬のようにがっくりと項垂れる。
自然に振舞ってただけなのに。彼には全く悪気はなかった。
八神が苦労してたので暴れん坊にもなるのもわかる。学校では威張りたくもなるよねと。
なんだかいつもキリッとしてる八神が可愛く見えた。名前は八神を撫でようと手を伸ばす。
「…名前。撫でたいのか。」
「はい。」
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