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鳥籠【R18】

第10章 #10


ある日のお昼。
名前と八神は、隣に座って屋上でお昼を食べていた。
いつもの手作りお弁当と麦茶の入った水筒。
名前は煙草を吸っている八神に質問する。
「ちょっと質問があるんですけどいいですか。」
「どうぞ。」
「八神さん、なんでそんなに優しいのに不良に…。」
 八神は煙草の煙を吐いた後、名前に微笑みかける。
「気になる?」
「はい。」
 名前は返事をする。八神は自分の事を話し出す。
「自分と自分の家族守りたかったからだ。
俺、母子家庭じゃん?親父がいない。
それだけで、大人しくしてたら俺もおふくろもやられると思ってた。
強くなるしかないってな。」
 名前は八神の横顔を見つめる。
「そうだったんですか。
強くて優しいって素敵ですよね。
はぁ。私も八神さんみたいに強かったらなぁ。」
 名前は八神と比べてしまう。八神は鞄から携帯灰皿を取り出し、
煙草の先を携帯灰皿に押しつける。
八神は名前に顔を向けて、頭を撫でる。
「安心しろ。
名前の事は俺が死んだって、化けて出て守ってやる。」
「…八神さん。」
 八神の振る舞いや悪い噂も全て愛おしく感じる。
怖かったのも許してしまえる。
八神の言った事が口だけではないって事も知っている。
「ああそうだ。今日名前の家に行っていいか?」
「いいですよ。何でです?」
 名前は八神に聞かれた事に首を傾げる。
「名前のお母さんかお父さんのどっちかに、
名前をもらっていいか聞かないと…。」
 名前は八神に言われ頬を赤らめる。
こんなに大事にしてくれて嬉しい。
できればずっと一緒にいてほしい。
名前は八神の事をそんな風に思って見ていた。
「恥かしいです…。」
「名前。照れちゃって可愛い。」
 八神は名前に抱きつき、顔を近付けてじゃれる。  
チャイムの音が鳴り響き渡った。
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