第22章 痛いほどの愛
『あの、お尋ねしたい事が或るんですか?』
釦を外す手を止めた太宰幹部はまるで慈しむかの如く私の身体に手を這わせ、何?と云った。
『如何して医務室まで運んで手当てして下さった事を黙っていたのですか?』
太「つい甘やかしそうだったから。」
『……それは如何云う意味でしょうか?』
太「手当てとは云え君に触れて君の身体を見れば甘やかさずには居られるなくなる。だが君にはもっと強くなって貰う必要が或るんだ。その為には私は恐怖の対象でなくてはならない。人は恐怖で支配される事が一番だからね。」
何時かの優しい笑みを見せながら語ってくれる。
『私はまだまだ弱いです。』
太「そうだね。そして君を傷付けて佳いのは私だけだ。」
『先刻の戦闘では本当に申し訳ありません。』
太「謝って貰いたい訳では無い。ただ他者が君を傷付けた事に無性に腹が立っただけだ。」
その時の事を思い出したのか、再び苛立ちを見せる太宰幹部。
私はゆっくりと起き上がり太宰幹部に自ら触れるだけの口付けをした。
『これから先、太宰幹部以外の者に傷付けられる心算は一切ありません。』
数回瞬きをした太宰幹部は再び私を押し倒し早急に釦を取り外す。
『ちょっ、太宰幹部!?』
恋愛における知識が乏しいとは云え此れから何が行われるかは容易に想像出来る。
太「治。」
『?』
太「二人っきりの時はそう呼びなさい。いいね?」
『でっ、では、治さん。私まだ病み上がりなのですが。』
太「何云ってるの。君は一週間も寝ていたんだから少しは運動も必要だ。」
『そんなにも!?で、ですが……「愛理。」』
太「云っただろう?私の側に居る為なら何でもする、と。そして私は何と云った?」
拙い頭で思い出したのは、“此の続きをさせろ。”と云った内容。
だが此れを指すものは手当てでは無く行為だったのだと今になって分かる。
『あれってそう云う意味だったんですね……。』
太「ふふふ、本当に君は如何しようもない。仕方ないから私が生涯を掛けて面倒を見てあげよう。」
『ふふっ、お願いします。治さん。』
END