第2章 第2章-修行のはじまり!-
3週間を過ぎると、足の痛みもだいぶ収まって、自分の足であるけるようになった。だから私は、あの人をよく見かけてた浜辺に行ってみようと思う。
「買い出し行って、ついでにちょっと散歩してくるね」
「おう、頼んだぜ。まだ足も十分になれたってわけじゃないんだからな、無理すんなよ?」
「わかってるよ、大丈夫!」
果物と野菜を市場で買って(おまけにリンゴも貰っちゃった)、浜辺に向かった。いるかどうかもわかんないけど、なんとなく気になる。
でも、あの人はいなかった。
当然といえば当然だわ…。私は少し足が痛み出したのに気づいて、あの人がいつも座ってた岩に腰掛けてみた。
波の音、冷たい風、私が暮らす海より少し青みが強いような気がする。あの人はいったいここで、何を思って座っていたのだろう?
「…なんだ先客がいるなら帰るか」
「ひゃぁっ!!!」
ぼぅっとしていたから気付かなかったけど、座ってる私の隣に、あの人が立っている。
生きてて良かったという安堵と、会えて嬉しいという喜びと、ほんとに会えたという驚きから、たぶんいま私はきっと変な顔をしている。
「そんなに驚くことか」
「あっ、いいえごめんなさい。ちょっとぼぅっとしていたので」
「お前よくここに来るのか?」
「いいえ。あっ、違う2回目です。…お邪魔でしたら私、帰りますか?」
「そうしてもらえるとありがたい、考え事をしたいんだ」
「すみません、お気に入りの場所をとっちゃったみたいで……これよかったら考え事しながら、食べてください」
私はかごから先ほど市場で、おまけでもらったリンゴをあの人に渡す。
「それでは失礼しますね」
「あぁ、悪いな」
ちょっと嬉しくてスキップ気味で帰ろうとしていたけど、もう少し話していけば良かったかなぁという後悔もあって、結局ちょっぴり落ち込んで家に着いた。