第3章 第3章-メイドと王子-
それから数日後、マルクが城の門番をしている知人を伝って、仕事を持ってきてくれた。
「どんな仕事なの?」
「それがなんと王子付きのメイドで、しかも住込みなんだそうだよ。ひとり急にやめてしまったらしくてね、育ちのいい娘を、早急にメイドとして雇いたいんだそうだ」
「あの城に住むのね。私がメイドなんてできるかしら…」
「まあ、心配してないと言ったら嘘になるけど…この一ヶ月で随分人間界にも慣れたし、家事も良く出来てるじゃないか」
「よーするに慣れだろ、何事もな!」
「言葉は荒っぽくなるけど、そういうことだね」
「…うん、わたし頑張ってみる」
「じゃあ手配しておくからね。たぶん数日後に面接なると思うよ」
マルクの言ったとおり、2日後に面接になった。
しかも王子と!
始めてのことだから、やっぱり緊張するなぁ…
城の前まで歩いていくとマルクの知り合いだという門番に案内され、王子付きのメイド長にまず会うことになった。
「王子付きのメイドをしている、エルマ・バローニよ。簡単に仕事の説明と注意事項、それから簡単なテストをするわ。さぁそこの椅子にかけて?」
「はい、よろしくお願いいたします」
机をはさんで椅子に座り、紅茶を出された。部屋は小さな応接間みたいになっていて、私の家とは違った装飾がなされていた。多分、いまからもうテストなんじゃないかな…仕草とか態度とか。
緊張する…