第17章 I am not your destiny
「爆豪さん、お入りください。」
看護婦の声に腰を上げ、診察室に入る。
半袖の制服に、ひじの内側には止血ガーゼがテープではられている。
爆豪は、学校を休んで病院に行った…。
番になれなかった原因を一刻でも早く知りたかった、というのが理由だ。
病室に入ると、髭面の医師はカルテを見ながらフム…と息を付いたあと、爆豪の方にメガネ越しの視線を向ける。
「えーっと、爆豪さん?
昨日オメガ女性と番行為をしたにも関わらず、番になれなかった…ということで良かったかな?」
「……」
爆豪は無言で頷くと、医師はギシッと椅子を鳴らして、もう一度カルテを見つめた。
「ベータだね、君。」
「は?」
「さっき採血したでしょ?
結果、ベータだよ。
まぁ、赤ん坊の時に血液型同様、へその緒からの採血でバース性検査をするんだがねぇ。
お母さんはアルファかい?」
「……」
「お父さんは?」
「ベータ…」
「フム…なら母親の血液のせいで結果がアルファと出たんだろう。
15年前の検査だし、診察ミスなんてよくあることでね。
オメガは12歳で再検査の必要があるが、ベータやアルファ性にはそれがない。
遺伝学上において
アルファとベータの掛け合わせならベータ遺伝率は8割強だ。
何ら変わりない、あたりまえのことですよ。」
「………」