第16章 if...
今はオリエンタルタウンで、鏑木家代々の墓石の下に眠る虎徹さん。
虎徹さんのお母様もお兄さんも楓ちゃんも、納骨までずっと僕を家族同様に扱ってくれた。
楓ちゃんに至っては
「コレ……バーナビーが持ってて。」
と、僕に虎徹さんの左手薬指の骨をそっと手渡した。
そう、僕と虎徹さんは愛し合っていた。
同僚や相棒としてのソレじゃない。
もっと深い部分で………
結婚すら視野に入れた関係だったんだ。
だからセックスだってしていた。
僕に抱かれる度に虎徹さんは
「バニー……好きだ。」
「愛してる、バニー。」
と、何度も何度も囁いてくれた。
そんな虎徹さんが僕も愛おしくて堪らなかった。
もちろん公にしていたワケじゃなかったけど、僕達に近しい人達は皆がこの関係に気付いていただろう。
僕も虎徹さんも特に隠していなかったし。
まさか虎徹さんのご実家の方にまで悟られていたのは予想外だったけど。
楓ちゃんが渡してくれた薬指の骨は、僕の寝室………
2人で数え切れない程愛し合ったベッドサイドに、ヴェネツィアン・グラスのパフュームボトルに入れて置いてある。