第8章 love's oracle ~dandelion~ Ⅱ
「あー……何だってんだよ。
メンドークセーなァ……」
俺は今、アポロンメディアの長い廊下をロイズのオフィスに向かって歩いてる。
なんか契約解除の書類に不備があっただのなんだのってロイズに呼び出されてさ。
最近やっと新しい街にも慣れてきたトコなのに、こうやってシュテルンビルドに戻って来ると……
《色々》と思い出しちまうじゃねーか。
ここは何も変わらねーな。
俺が居なくなってから、アポロンはバーナビーとワイルドタイガーのコンビを復活させた。
能力減退によってハンドレットパワーが1分間しか保たなくなったオッサンは、『ワイルドタイガー1minute』とかって名乗ってさ……
完全に開き直って1部リーグでバリバリとヒーローやってるみてーだ。
まーでも……元々バーナビーとの相性もイイんだろーな。
上手い具合に2人で活躍して、ポイントもソコソコ稼いでるらしい。
………ッつーか、相性イイって当然か。
アイツら、デキてンだしさ。
オンもオフもミッチミチに満たされてるなんて………
ッたく……「Happy people can go blow!!」ってヤツだよなー。
なーんて心の中で悪態を吐いてみても、きっと今の俺の顔は楽しそうに緩んじまってる。