第17章 8月 Ⅳ
「なんや、お人形さんみたいな顔してヤる事はヤッてたんか?」
何も知らんウブな子かと思っとった、と珍しく見せた本音の驚きの表情に、アリスはクスクス笑う。
『挨拶でハグとキスが当たり前の国にいたんですよ?』
「そやったなぁ。なら、ワシにもしてくれへん?」
『残念ながら、ここは日本ですよ。』
そうこう話さしているうちにアリスのアパートに着いてしまった。
それにも今吉は「めっさ近いやんか!」と驚いていたが、それはアリスも同様。
青峰の家が近い近いと黒子や黄瀬に言われてはいたが、自分が駅に向かうまでの間にあるとは思ってもいなかった。
『ありがとうございました。』
「えぇって。ほなら、また。」
出来れば「また」はあって欲しくないと思ったが、きっと彼とも少なからずこれから先、会ってしまう事になるのだろうとアリスは思っていた。