第11章 7月
緑間の言葉は的中してしまった。
バスケだけではなく、教室内でも火神と黒子はギクシャクしている。
昼食を共にすることもなくなってしまい、どちらか片方とだけ一緒に食べるのも嫌で、アリスも自然に二人と距離を置いてしまっていた。
このまま夏休みに入ってしまうかと思うとアリスの気分も深く落ち込んでしまう。
「…すいません。」
部活後、いつもの様に2号をアリスの家まで送ってきた黒子は、いつも以上に元気がないせいで存在感も薄くなっている。
2号は嬉しそうに部屋に上がって行ってしまい、玄関先でどうしたものかとアリスは悩んでいた。
このまま黒子を帰したくない、けれどだからと言って今の黒子に自分ができる事はなんなのかと考えても何も出てこない。
「それじゃあ…。」
帰ります、とドアを開けると冷たい雨が降り出していた。
『時間が大丈夫なら雨宿りしていく?』
「…そうですね、お邪魔してもいいですか?」
どうぞ、とアリスは来客用のスリッパを差し出した。
カチカチと秒針が規則正しく音を立てている。
2号はお気に入りの場所ですでに夢の中。
『タイガと仲直り出来ない?』
「仲直りと言うか、喧嘩はしてないです。ただ…。」
桐皇に大敗してしまい、自信を大きく抉られただけだ。
次に対戦することになったとき、どうやったら勝てるのか、何も手段が思いつかない。
天性の才能には努力ではかなわない、たった一人の天才に、五人のチームプレイでも歯が立たなかった。
『そう?…それならいいの。』
「あの、アリスさんはなかったんですか?その…。」
アリスがバスケの話をすると泣きそうになる所を見てしまっているせいで、その先の言葉がなかなか出ない。
『何度もあったよ。日本人ってだけでまともに相手にされないし。でもね、向こうは兎に角実力主義だから。』
悔しければその分自分が努力して、馬鹿にした連中を見返すしかなかったのとアリスは言った。
実力主義だからこそ、一度認めてもらうあればその後はただ、楽しかった、と。
「…実力、ですか。」
『何も得点力だけがバスケじゃないでしょ?』
私が認めて貰えたのは、ボール運びとパスセンスだったから得点力は低い方だったよ、とアリスは笑う。
「それって…。」