• テキストサイズ

君と僕とが主人公LS

第9章 6月 Ⅳ


『また、ね?』

「あぁ、またな。」


連絡先は交換しなかった。
けれどお互い、「また」が来ることが当たり前だと感じていた。
だからそんな事は大した問題ではなかった。
小走りで戻って行く後ろ姿が見えなくなるまでそこにいたアリスは、ふと、昔の事を思い出した。
日本を離れる直前、別れを伝えなければならないのに伝えられなかった子がいた事を。


『ダイキって…まさか、ね。』


自分の中に浮かんだ仮説を自分で否定した。
一足先に会場を出た緑間はずっと考えていた。
なぜあの子が日本にいるのか、誠凛の制服を着ている事にも驚いたが、黄瀬が親しく話をしていた事にも驚いた。
如月アリス。
日本人なのにアメリカロサンゼルスのジュニアハイスクール女子バスケの選手で、注目されている選手だった。
短期留学でロサンゼルスに行った赤司が絶賛していた事も覚えている。
そして一年前の全中三連覇を果たした日、「卑怯者!」と真正面から英語で突っかかってきた。
誠凛の制服を着てはいたが、バスケ部の関係者と言うわけではないらしい。
おそらく火神と黒子のクラスメイト、と言うところんだろうか。


「また会えるとは思わなかったのだよ。」


確かにおは朝占いは「意外な人物に再会できるかも」と言っていた。
まさかこんな形で再び会う事になるとは思ってもいなかった。
しかし、あの日から心の何処かでまた会いたいと思っていた。
言葉の通じないかもしれない相手、しかも自分よりもガタイの大きな男に堂々と啖呵切って噛み付く。
しかしそれはただの無謀や短気ではなく、己が感じた悪意を許さない為に。
あの日、酷く落ち込んだと同時に今まで感じたことのない高揚感の様な物も感じた。
それがフツフツと蘇ってくる。
黄瀬と彼女の態度からするに、二人とも過去の事は覚えていない様子だった。
インターハイの舞台ではなく、次、ウインターカップの舞台でまた会えるだろう。


「あっれー?慎ちゃんなんかいい事でもあった〜?」


高尾が冷やかすように声をかけてきた。
それを聞こえないふりで流し、体育館へ向かう。
季節はもう夏。
今年の夏は暑くなりそうだ。
/ 439ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp