第66章 新8月 Ⅶ
『ねぇ、青峰君。』
「ん〜?」
『昨日の試合、お疲れ様。』
今更それか?と青峰は笑う。
思えばここに来てから、バスケの話はひとつもしていなかった。
『それと、ありがとう。』
「別に。礼を言うことか?」
『いいの。私が言いたいだけ。』
一際大きな花火が何発も打ち上がる。
きっとこれが終わると閉園のアナウンスが流されるだろう。
『You bring so much joy to my life.』
(あなたは私の人生に多くの喜びをくれる。)
「あ?」
英語じゃわかんねぇよ、と苦い顔をする青峰に、アリスは満面の笑みを浮かべた。
『青峰君、本当にありがとう。』
アリスはそう言うと、帰ろう!と大きな彼の手を取った。