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君と僕とが主人公LS

第66章 新8月 Ⅶ


ジャバウォックとの激戦から一夜明けた。
自宅の自室の自分のベッドで目を覚ましたけれど、どこか違和感の様な、今が現実なのか夢なのか、曖昧な感じがする。


「おはよう、アリス。あまり眠れなかったのかい?」


8月といえど、朝の空気は清々しく心地よい。
五月蝿く鳴く蝉達もまだ目覚めてはいないのだろう。


『うん、なんだかまだ夢の中みたい。』


あれだけ激しい試合を見たばかり。興奮冷めやまないのは仕方がないのかもしれない。


「パパは仕事で結果とダイジェストしか見ていないんだが、みんな凄かったな。」

『そうなの!』


話していたらやっぱりバスケしたくなってきちゃった、とアリスは朝食の支度をしながらも浮き足立つ。
続きはパパがやっておくから日が昇りきり暑くなる前にやっておいで、と克也は彼女を送り出す。
トントンとつま先でアスファルトを叩き通い慣れた道を歩く。


「よう。」

『おはよう、青峰君。』


特別に約束をしていたわけではないが、必ずこの公園に来ると会える。
今朝は青峰の方が先に来ていた様で、ジワリと彼は汗をかいていた。


『この時間にバスケやるのは初めてだね!』


毎週末の夜、ここでバスケをする様になってはいたが朝の眩しい光の下で一緒になるのは珍しい。


「なぁ、アリス。今日この後予定あるのか?」


昨日の激戦もあり、今日はバスケ部の練習はお休み。


『特にはないよ?』

「なら、俺に付き合え。」


ダムダムとボールをつきながらぶっきらぼうに言われる。


『うん!久しぶりだね、青峰君とデート!』

「バカっ!」


え?違うの?とキョトンとするアリスに、それを誤魔化そうと青峰はボールを彼女に向かってパスした。
その後はいつも通り、どちらかの腹が鳴るまでボールを追いかけてはしゃぐのみ。
最初こそ、ゴールが決まる度に確認していたがその僅かな時間すら惜しいと二人はバスケを楽しむ。
青峰の腹が空腹を訴えたことをきっかけに、二人はゴールポスト下に座り込んだ。
はぁはぁと上がった息を整えながら、次の待ち合わせの時間は何時にしようか、とアリスは言った。
帰って食事をしてシャワーを浴びるから…と思いつく事を指折り数える。


『10時ぐらいでいい?』

「あぁ、迎えに行く。」


またね、と手を振り一旦別れる。
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