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君と僕とが主人公LS

第8章 6月 III


誰?と聞き返され、知らないならいい、と流した。
さつきが知らないって事はバスケ部には関わっていないのだろう。
しかし、あ!と何かを思い出した様だった。
その頃、カントクの厳しいトレーニングメニューをこなす誠凛バスケ部の皆さんを他所に、ただ普通にプール遊びをするアリスと2号。
トレーニングに参加できない火神もそちら側にいた。


「なぁ黒子、彼女は確か。」

「はい、前に手伝いに来てくれたクラスメイトです。」


日向に声をかけられた黒子はハァハァと上がった息を整えようとする。
カントクの十分休憩の声に、普通にプール遊びを楽しんでいた彼等も水から上がった。
ここまで一緒に来ていた黒尾だったが、誠凛のバスケ部が一緒だと知ると「用事を思い出した」と、中には入らずにどこかに行ってしまった。
全く自分勝手なんだから、とアリスは呆れていたがきっとそれは黒尾なりに気を使ったのだろう。


「彼女、どっかで見た気がしてたんだが。」


何だっけかな、と日向は頭をかく。


「同じ高校の生徒だからどこかで会っていてもおかしくはないですよ。」


黒子の言葉にそういうんじゃないんだよ、と日向は納得できない表情。
パーカーを羽織って2号とプールサイドで戯れる彼女。
カントクからの頼み事でもある、火神の監視をしっかり勤めている。
彼女は、火神が勝手に抜け出してバスケをするような事が無いように、遊んでいるように見えて彼をこの場に留めているのだ。


「アリスちゃんには本当助けられてるわ。」


バインダーを手にトレーニングメニューの消化具合を確認していたカントクは、2号にビクつく火神とそれを笑うアリスへ視線を向けた。


「って、ちょっと…どういうこと。」


トレーニングモードで見ていたせいだ。
彼女のフィジカルデータが普通の女子高生のそれではない事にカントクは気が付いた。
水着だったせいもあり、アリスのスタイルが整っている事は誰にでもわかる事だったが、ここまでとは、と思わず見惚れてしまう。


「黒子君、アリスちゃんって何者なの?」

「思い出した!東洋の魔女だ!」


かつて世界的に有名になった日本女子バレーチームに付けられたニックネーム。
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