第7章 6月 II
ボールは無いのに、彼の手から放たれる放物線はまっすぐにリングに伸びていくのが見えた気がした。
『そうだ、まだ時間ありますか?』
「あー、そうだなぁ…。」
『この前の忘れ物、持ってきます。』
公園を飛び出そうとしたが、出来なかった。
青峰に腕を掴まれ止められてしまった。
「あ、ワリィ。」
『青峰くん?』
驚いていたらパッと手を離される。
この人、何がしたいのかわからない。
「…次ん時でいい。」
そう言うと大きなあくびをしながら、青峰はアリスに背を向けて公園を出て行ってしまった。