第56章 新 6月 II
テスト期間中は部活動は休みになるのだが、今日は実力テスト最終日。
原則としては今日も部活動は休みなのだが、土日と昨日今日の4日間勉強漬けでバスケをしていなかった火神は、最後の教科のテストが終わらない内からソワソワとしていた。
テスト終了のチャイムが鳴り、答案が回収されると同時に慌しく荷物をまとめ始める。それとほぼ同時に黒子もまた、静かに荷物をまとめていた。
二人共この後真っ直ぐに体育館に向かうのだろう。
同じ頃、隣の教室ではテストが終わり緊張感の無くなった穏やかな雰囲気の中でアリスはクラスメイト達と談笑していた。
「アリスちゃんは今日の練習行く?」
『え?今日は練習ないよね?』
「あぁ、自主練だからね。」
降旗に声をかけられたアリスは、みんなバスケが好きねと笑う。
二年生になってからはバスケ部の関係者以外にも友人が出来たアリスは、今日は体育館へは寄らずに彼女達と遊びに行くと言った。
「たまのオフだしね、楽しんでおいでよ。」
『うん、ありがとう!』
同性の同級生と放課後に遊びに行く、そんな当たり前の様な事が今まではあまり多くなかったせいか、アリスは楽しみで仕方がないと表情に出ていた。
担任教師の話が終わり、それぞれのグループが楽しそうに教室を出て行く。
「アリスちゃん、行こう!」
『うん!ふーり、また明日。』
タイガと黒子君によろしくね、と手を振り彼女は教室を出て行った。
昇降口を出て正門へと向かう途中、なんだか他の生徒達がザワザワとしている事に気がつく。特に女子生徒達が黄色い声を上げている。
なんだろう?と友人達は顔を見合わせるが、彼女にはこの光景に覚えがあった。
ちょうど去年の今頃にも同じ様な事があった事を思い出す。
「なんだろ、何かあったのかな?」
「なんかのロケやってるとか?」
『…なんだろうね。』
そう言ったものの、なんとなくわかってしまった気がしていた。
アリスの予想は的中。
誠凛高校正門前に沢山の女子生徒に囲まれてはいたが、身長の高い見知った顔が見えたのだ。
「やだ、あれキセリョじゃない?」
『…うん、そうみたい。』