• テキストサイズ

君と僕とが主人公LS

第52章 新 5月 Ⅲ


控え室へと続く廊下にアリスの喚く声が響く。
本当は下ろせと暴れたいところだが生憎今の彼女には声を出すのが精一杯。
小金井は彼女の勝ちだと言っていたが、自分が交代した後も試合に出続け、今こうして彼女を軽々と抱えて歩けるのだから青峰の方が体力的にも余裕があるのは明らかだ。


「喚くな!落っことすぞ!」

『落っことしていいよ!』


休憩したいと思ってはいたが、あくまでも体育館でチームメイト達と一緒がよかったのに、とアリスは愚痴る。
桐皇の控え室に連れて来られ、やっと降ろして貰えたはいいが、ここでは休めないと彼女は言った。


「なら戻れよ。」

『………。』


戻りたい気持ちは山々だ、しかし、まだ彼女の足は生まれたての子鹿状態。
久しぶりに全力以上を出してのゲームで、自分が思っている以上に消耗してしまっていた。


「お前、いつ、赤司に会ったんだよ。」

『へ?』

「さっきのは、赤司のそれだろうが。」


あ、わかっちゃった?とアリスはおどけて見せる。
しかし、青峰はいつになく怖い顔のままジッと彼女を見つめていた。
その視線に先に目を反らしたアリスは、小さく溜息をつく。そして観念したかのように春休み中に京都に行き赤司に会った事を話した。


「青峰に勝つ方法?」

『うん、セイ君もチームメイトだったんでしょ?』


赤司の計らいで二人でバスケをした日、その休憩中にアリスは何気なくそれを聞いたのだ。
今まで何度か青峰とバスケをしたがまだ一度も彼に勝てたと思えるパーフォーマンスが出来た事がない。
それこそ、初対面の一本ぐらいだが、それだって青峰が彼女の胸に気を取られた隙を狙ったものだった。


「俺よりも君の方が今は詳しいんじゃないか?」

『そうかなぁ…。どうだろう。』

「それに中学の時も青峰を止めるのは俺一人では難しかったよ。」


バスケのセオリーに反する自由奔放な彼のプレイスタイルは先読みするのが赤司ですら難しかった。
そうだなぁ、と真剣に考え始めた赤司は隣で無意識なのかポンポンとボールを操るアリスを見て何かを思い付いたような顔をした。
彼女のプレイスタイルは青峰のそれによく似ている。
違うのはフェイントというよりもトリックの様に感じる巧みなボール捌きとシュート力ぐらい。
/ 439ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp