第50章 新 5月
当然、今回の合宿にはマネージャーとしてアリスは同行する。だから食事や休憩時の補給に関しては何の心配もない。
そんな話をしていると、ボロボロになった新入生二人がパンを手に屋上に顔を出した。
どうやら新入生二人も三校合同合宿への参加権を無事に得られたらしい。
むしゃむしゃと大きなパンを齧りながら、火神は「楽しみだぜ」と笑っていた。
「今度の合宿、練習試合もあるんですよね?」
その日の練習後の帰り道。
電車を降りて2号を歩かせながらアリスの家へと向かっていた。
『後半は毎日そうなるかな、たぶん。』
「それ、アリスさんはどうするんですか?」
『どうって?』
出ないんですか?と聞かれた彼女は少しだけ寂しそうな顔をした。
きっと出たい気持ちと、出られるわけがないとわかっている現実がそうさせたのだろう。
今までの練習試合に彼女が出れたのは相手校の監督や選手達から了承を得られた時のみで、しかも二試合目以降だけだ。
合宿となれば一試合で終わる事は無いだろうが、強豪校の監督達が一応はマネージャーという立場の彼女が試合に出る事を了承するとは思えない。
「カントクがいいと言ったら出ますか?」
『そうだね、その時は出たいなぁ。』
ちゃんと青峰君とバスケしてみたいし、高尾君ともやりあってみたいな、と笑ったアリスに今度は黒子が寂しそうな顔をした。
きっと彼女は1プレイヤーとして、強いプレイヤーと対峙してみたいという気持ちからなのだろうけれど、黒子は自分達とプレイしたいと言って欲しかったのだろう。
まだ彼女には秘密にしているのだが、勧誘会で初めて誠凛のユニホームを着て喜んだ姿を見て特別に彼女用のそれを用意している。
「やりましょう、きっとみんなやりたいと思っています。」
『出来るといいなぁ。』
合宿、楽しみだねとアリスは笑った。
二日後、GW合宿が始まる。
合宿なんて面倒臭いだけだ、どうやってそれをサボるかを考えていた。
「…って聞いてるの?」
「あぁ、聞いてる、聞いてる。」
絶対聞いてなかった!と怒る桃井に、面倒臭いと青峰は欠伸をしながら完全に彼女の話を聞き流していた。
「テツ君達と1週間一緒なんだよ!」
「テツと?」
だから、と合宿の詳細をまた説明する桃井に、マジかよと青峰は嬉しそうな顔をした。