第49章 新 4月 II
それは偶然か、それとも必然か。
バスケの試合会場でも無いのに顔を合わせた事に、お互いに驚いていた。
そしてそんな彼等のこれからの目的地が同じ事にも。
黄瀬は以前、彼女が好きだと言っていたブランドの非売品アクセサリーをモデルの仕事先で偶然手に入れ、プレゼントしようと思っていたらしい。
緑間と高尾は緑間のラッキーアイテム「ピンクの花柄ハンカチ」を彼女に借りに行くところだった。
青峰は練習をサボってしまったが、休日を家でゴロゴロするのにも飽きたからストバスしようぜ、と誘いに行くつもりだった。
そして火神と黒子は体調不良で練習を休んだアリスの見舞いに行くところだったのだ。
「アリスっち病気なんスか!」
まるで不治の病にでも彼女が侵されているかのようなオーバーリアクションの黄瀬に、風邪らしいです、と黒子が答える。
それを聞いていただろう青峰を睨む火神。
「わかっただろ?バスケは無理だ。」
だからお前は帰れと言いたいのだろうが、そこは彼の自論「練習をサボる仮病だろ」と一言。
それに反応したのは緑間で、彼女はそんな事はしないのだよ、と言い切る。
それでなくとも目立ってしまうガタイのいい男子高校生達が、リアカー付きの自転車という可笑しな乗り物で更に悪目立ちしていた。
「風邪ひいてんなら果物とかゼリーとか買って行こうぜ。」
「そうですね。」
バチバチ睨み合うエース達4人とは違い、まともにアリスを見舞う事を考えている黒子と高尾は途中でスーパーに寄ろうと話していた。
そんな一団が向かっているとも知らず、アリスはオデコにペタっと冷却シートを貼り付けて、フラフラと冷蔵庫を開けていた。
昨日の練習時からなんだか調子が悪いと感じていたが、きっと生理前だからだろうと甘く考えていた。
ズキズキと痛む頭、体温計は38度を超えたところでアラームを鳴らした。
これは完全に風邪だ、と重い体を起こし相田に何とか休む連絡をした。
『…参ったなぁ、なにもないよ。』
水分だけはとらなくちゃとわかってはいるが、冷蔵庫には克哉の残していった缶ビールが数本冷えているだけ。
粉末タイプのスポーツドリンクがあったはず、とキッチンの引き出しを開ける。
ボトル一本分しかそれも残っておらず、これは誰かに助けを求めるしかないか、と弱々しくボトルを振った。