第46章 新 3月 II
「あぁ!京都旅行だよ!」
楽しみだ、と缶ビールを手に夕日を眺めながら克哉は言った。
バッシュのスキール音が響く体育館前で2号はぴちゃぴちゃと水を飲んでいた。
遅刻した事を真っ先に謝ったアリスに、いつも頑張ってくれてるから今回だけはペナルティなしで許すわ、と相田は言った。
『それと来週末、父が帰国してくるのでお休みしたいんです。』
「お正月休み以来よね?」
よかったじゃない、と自分の事のように喜んでくれた相田は休む事も快く承諾してくれた。
言いづらかった事を全部伝え終えたアリスは、安堵の溜息をつき自分も練習に参加しようとした。
しかし、それを相田は許さなかった。
「アリスちゃ〜ん、他に報告する事なぁ〜い?」
『え?』
これ、なぁに?と相田の手にはローカル誌。
他に何かあっただろうかと考え込んでいたアリスは、そこにヒントがあるのか?と彼女の手からそれを受け取った。
すぐには相田が何を言いたいのかわからなかったが、パラパラとページをめくっていたアリスは『あ!』と顔を真っ赤にした。
どうやら気が付いたらしい。
「プライベートで誰と付き合っているかまで口は出さないけど。知らない所で怪我したりする様な事はしないでよ?」
『これは当日まで知らなくて!…ごめんなさい。』
しゅんとしてしまったアリスに、相田は苦笑いだ。
怒っているわけではないのだ。
ただ、アリスを正式に誠凛バスケ部の一員として迎えた以上、他の部員達と同じ様に常に最高のパフォーマンスが出来るよう練習メニューを作る上で知っておきたかったと言いたかったのだ。
「今後、こんな事があったら事後報告でいいからちゃんと教えてね。」
オーバーワークして怪我なんかしたら許さないんだからね、と相田はウインクをした。
自分の事をちゃんと考えてくれていると改めて知ったアリスは、ありがとうございますと嬉しそうに頭を下げた。