第44章 2月 Ⅲ
『でもね、さつきちゃんとチョコ作ったりしたのは楽しかったからいいかなって。』
「楽しいかねぇ、そんな事して。」
『バスケもいいけどね。』
料理は普通に生活していく上で必要だから自然に身に付いていたけれど、菓子を作るのは普段のそれとは違い、レシピを調べて材料や可愛らしい器具を用意して、兎に角楽しかった。
「ならお前、次の休みになんか作って来いよ。」
そしたら相手してやってもいいぜ、とシュートを打つ真似をした。
『何かリクエストある?』
「任せる。」
話しているうちに駅に着いてしまい、ここからは方向が真逆。
またね、と手を振り改札で別れた。
正門を通り真っ直ぐに体育館へ向かう。恐らく午後の授業がまだ終わっていないのだろう、まだ授業でそこは使用されておりアリスは仕方なく部室棟へと向かった。
『合鍵預かっててよかった。』
折角みんなが来る前にここにいるんだから、と持ってきたマフィンを個人のロッカーに配る。
何も知らずに荷物を置きに来たら驚くだろうと考えるだけで笑ってしまう。
全員分を配り終え、今のうちにビブスの洗濯を済ませてしまおうと散らばっていたそれをカゴに集めた。
洗濯機は複数の運動部で共有している為、順番を待たずに使える今やってしまえるなら後が楽になる。
バサバサとビブスを洗濯機に入れ、洗剤を入れスイッチを押す。
洗い終わるまでの時間が表示され、自分のスマホのアラームにも同じ時間でセットした。
『よし!』
タイミング良く午後最後の授業が終わるチャイムが鳴った。
みんなが着替えに来てしまう前に、部室の冷蔵庫から氷を出してドリンクを作っておこうとアリスは空になったカゴを手に部室へと向かった。
その日のバスケ部の練習は、何故かみんな気合い入りまくりだった。