第44章 2月 Ⅲ
宅配ピザに冷蔵庫にあった野菜で適当に作ったサラダ、グラスをトレーに4つ乗せて冷蔵庫からジュースのボトルを出した。
『タイガ、ちょっと手伝って!』
「あぁ、何すりゃいい?」
出来てる料理を持って行ってとキッチンの方へと視線を向けた。
そこにはグリーンサラダが人数分並んでいた。
先にグラスと飲み物を運んで来たアリスは不貞腐れている事を全く隠す事なく、大きく足を開いて座っている青峰に小さく溜息をついた。しかし、溜息をつかせた原因は彼だけではない。
その隣で無表情という冷たい目で、小さく縮こまっている黄瀬をじーっと見ている黒子がいる。
『黒子君も青峰君もいい加減にしたら?』
涼太だってワザとじゃないんだから、と黄瀬を庇う言葉を口にしたアリスに、「アリスっち〜」と泣き付こうとした彼を、二人の鋭い視線が串刺しにした。
これ以上彼女に自分だけ近付こうものならば容赦はしない、と。
そこへサラダを持って火神も戻ってきた。
「まぁよかったんじゃねぇの?アリスは元気だったわけだし。」
ほら、とテーブルにサラダを配り並べる火神はブスッとしたままそれを受け取る二人に「ダメだこりゃ」とアリスと顔を合わせた。
『仕方ないじゃない。電話に気が付かなかったのは私のミスなんだから。』
「ったくよぅ、音消して置きっ放しって。」
火神に休む事を連絡をした後、いつもの癖で音を消し、カバンにそれを入れてしまったのだ。
だから青峰や黒子からの着信やメッセージに全く気が付かなかった。
「でも、黄瀬君が一緒にいた理由には納得していません。」
チョコを渡したいと言う自分のファンに追われて逃げて来たなんて、仮にそれが本当だったとしても彼女にまで学校をサボらせていい理由にはならない、と黒子は言った。
それはその通りで、黄瀬は何も言い返せずに黙ってしまう。
『もう!いつまでもそんな顔するのはやめて!』
「でも…。」
『あーもう!今日のサボりは涼太の為じゃないよ、私がそんな気分だったから!』
電話の事も全部自分のミスだと言ったアリスは自棄になっている様に見えた。
「つか、何で桃井と菓子作りなんかしたんだ?」
これは話題を変えた方がいいだろう、とそう言った火神にそうだった、とアリスはキッチンへと戻る。