第41章 1月 Ⅲ
何気ないいつもの帰り道。
2号と一緒に歩くアリスは、ふと足を止めた。
誠凛男子バスケ部に正式に加入してから、来る機会が減ってしまった近所のストバスコート。そこに見知った人物を見つけたのだ。
『珍しいね、一人で練習?』
一見、出鱈目に放った様なシュートはリングに吸い込まれていく。
「暇なら相手しろよ。」
『疲れてるから、少しだけね。』
てっきり断られると思ったらしい青峰は、2号に荷物を預けるアリスを見てなんだか拍子抜けした顔だ。
「なんか初めたのか?」
聞いたはいいが、直ぐにその答えはわかった。ドリブルするその動きが明らかに以前よりもスムーズになっていたのだ。
前から彼女のトリッキーなプレイは凄いと思っていたが、その速さやテクニックに磨きがかかっている。
ストバスらしい、派手なトリックプレイは彼女が一番得意とするものだ。それに小柄で体重の軽い彼女はスピードも速い。
『…あ。』
華麗に青峰のディフェンスを交わして放ったシュートは、大きな音を立ててゴールに弾かれた。
どうやら相変わらずシュートは苦手らしい。
「プッハッ!なんだよそのヘボシュート。」
抜く事は出来たんだから半分勝ちでしょ、とアリスは笑って誤魔化す。
『青峰君が練習してるなんて、何かあったの?』
「明日ストバスやんだよ。で、なんか落ち着かなくてよ。」
そんなに楽しみな試合なのかと聞かれた青峰は、どこかバツの悪そうな顔をした。
まさか黒子の誕生日祝いを兼ねた、昔の仲間とのストバスを楽しみにしてしまっているとは自分でも認めたくはないのだろう。
「つかよ、お前も来いよ。」
『ゴメン、明日はちょっと先約あり。』
でもそのうちちゃんとやってみたいね、とアリスは言った。
黒子や火神、黄瀬も誘ったら喜んで来てくれるだろう。
そうなったら楽しいね、と彼女は言った。
「なんだかなぁ。久々に会ったってのに。」
『そうだね。』
やっぱりバスケの話しかしてないね、とアリスは言う。
学校が始まってしまい、他校との試合もない今、接点が無くなってしまった。
お互いに連絡先は知っていても、こまめにやり取りをする程でもない。こうして顔を合わせるのは正月の初詣以来だし、振袖を返しに行った時には会っていない。