第39章 新年 1月
それにあの初詣の人混みの中、ちゃんと桃井とアリスが歩き易い様にさり気なく庇ってた青峰。
自分に決定的に足りないものがこの距離なのだと思うと、本当にこのまま自分がアリスの隣にいていいのかと情けなさすら感じる。
「なぁ、アリス。俺はお前をいつも助けられねぇな。」
『なにが?』
自分がバスケをつまらないと、誰か助けてくれと悶々としていた時、アリスが帰って来て背中を押してくれた。
キセキの世代と言われる連中と対峙する時も、自分の壁にぶつかって動けなくなりそうな時も、いつもアリスが居てくれたから諦めずにここまで来られた。
「俺はまだ自分の事で精一杯なんだな。」
『それでいいじゃない。バスケ馬鹿で前向きなのがタイガの長所でしょ?』
今だってこうやって、落ち込む自分を慰める様な言葉を言ってくれる。
そして、こうすれば置いていかれない、とアリスは火神の手をそっと握った。
触れる手から伝わる温もりも、欲しい時に与えてくれる。
「アリス、離すなよ。」
彼女の家まであと数分だが、そう言って火神はアリスの手をそっと握った。
帰宅して来た晴れ着姿の娘に、克哉は想像以上に大喜びで写真だ、ビデオだと大騒ぎだった。
『…パパ、もう疲れたよ。』
「あと一枚だけ、一枚だから、な!」
そう言ってこれで何枚目だよ、とアリスは大きく溜息を吐いた。