第37章 WC Ⅲ
そう言う緑間君は?とアリスは微笑んだ。
緑間も何故か帰る気になれず会場に残っていた。
そんな所に来た火神は、二人に気が付かずベンチ周りをうろちょろしている。何か探しものでもしているかのよう。
『じゃあ緑間君、またね。明日の三位決定戦頑張って!』
アリスはそう言うとパタパタと会場の外へと走って行ってしまう。
「あ、アリスさん。」
『黒子君、お疲れ様。』
火神の後をこっそりつけてきた黒子とすれ違ったアリスは、ニコっと笑ってそう言うとそのまま足を止めずに外へ向かって行く。
本当にアリスはいつまでもバスケ部に必要以上の関わりを持ちたがらない。
選手達が関わって欲しいと思っていても。
「…アリスさん、黄瀬君に会いに行くつもりですか?」
『え?』
黒子の言葉に思わず足を止めたアリスは、ゆっくりと振り返った。
「もし、ワガママを聞いてくれるなら。今から僕達と一緒に来てもらえませんか?」
『私が?』
はい、と黒子は真っ直ぐにアリスを見つめた。
その真っ直ぐな瞳にはあまり感情が無くて、けれど不思議と目をそらすことが出来ない。
「今から聞いて貰いたいんです。僕達の過去の話。アリスさんにも知っていて貰いたい。」
『…わかった。』
アリスは、何か覚悟をしたように頷いた。
緑間を迎えに来た高尾と当たり障りない世間話を交わし、どうやら探し物を無事に見つけられた火神は笑顔。
「じゃあね、アリスちゃん!」
『高尾君も明日、頑張ってね。』
「お前等も、な!」
お互いに軽くエールをおくりあい、それぞれの帰路につく。
アリスは今から火神の家に集まる誠凛のみんなと合流する事になった。