第3章 4月 II
それに今、借りている服もそのまま返さないわけにはいかない。
「…聞いときゃよかったな。」
せめてメッセージぐらいはしておくか、とスマホを手にしてから気が付いた。
連絡先はおろか、きちんと名前すら聞いていなかった。
きっとまた、あの公園に行けば会える、そんな根拠のない自信はある。
きっとそう思えるのは、また会いたいと思っているからだろう。
「…アリス、か。」
彼女から直接聞いたわけではないから、それが合っているのかはわからないが、あのフォトフレームの写真には「アリス12歳」と書かれていた。
真夜中の住宅街を歩きながら、僅か数時間の事なのにとても長く楽しい時間だったと思っていた。