第24章 10月 Ⅲ
人気のない屋上へと続く階段に座っていたアリスは、ウサギを追って迷い込んだ不思議の国で一人、行き先を見失って落ち込んでるアリスそのままだ。
「なら俺もここで休もうかな。」
『折角来たのに?』
「俺はアリスっちに会いに来たんスよ?」
一緒にいなきゃ意味がない、と黄瀬は眩しい程の笑顔で言った。
特に何かを話すわけでもなく、並んで座って賑やかな声を聞いているだけなのに黄瀬はとても楽しそう。
「ねぇアリスっち?」
『んー?』
「バスケ、やらないっスか?」
ほら、と手を引かれアリスと黄瀬は文化祭を抜け出した。