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君と僕とが主人公LS

第22章 10月


運動部系のブースは油たっぷりの肉系の食べ物が多い。
匂いだけでもお腹いっぱいになりそうだ。


「あ!いたいた!火神!大変なんだ、早く来てくれ!」


お祭りの法被の様な格好をした降旗と河原、福田が火神に駆け寄った。
黒子は?と一緒にいるだろうと思っていたもう一人のチームメイトの姿を探している様で、「ここにいます」と声をかけられ驚くという鉄板の流れ。
しかし、今日は黒子のナチュラル過ぎる透明感に更に3人は驚いていた。
今の黒子は「見つけられたら幸せになれる」なんてジンクスが付きそうな程に透明だ。


「大変なんだよ!先輩達が!」

「変な連中が来てんだよ!」

「カントクは生徒会でいないし!」


相当慌てているらしく、話す言葉がめちゃくちゃになっている3人は兎に角すぐに体育館に来てくれ!と言う。


『どうかしたの?』

「よかった、アリスちゃんもいた!」


その切羽詰まった顔に、ただ事ではない事だけは理解できた。
いくらここで話を聞いても拉致があかない、とコスプレ姿のまま体育館へ急ぐ。
本当は一度戻ってせめて上履きを持って行きたいところだ。


「…ん?あれ、テツじゃねぇか?」

「テツ君?!」


退屈だと窓の外を眺めていた青峰は、おかしな3人が走って行く姿を見つけた。


「あー!アリスっちも一緒じゃないっスか!」


どれどれと覗き込んだ黄瀬はショック!と項垂れる。
いくら待っても戻ってこないのはこういう事だったのか、と。


「テツ君、カッコいい♡」


キラキラ輝く魔法のオーラを纏って走る様に桃井には見えているらしい。
勢いよく立ち上がった彼女は、後を追いかける!と言った。
いい加減、この場違いなメルヘンチックな教室に飽き飽きしていたら青峰も、やっと表情が変わる。
集まってしまっていた女子に後ろ髪を引かれながら黄瀬も二人と一緒に立ち上がった。


「ありがとう、美味しかったっスよ。」


名残惜しいと言う女子達に王子様スマイルを残した黄瀬。
黒子達が向かっただろう、体育館の方へとこちらの3人も足を向けた。
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