第20章 9月 II
「凄かったよ!青峰君でもあんなに上手には出来ないんじゃないかな!」
『今のはバスケじゃないから。比べる事が間違ってるよ。』
「そんな事ないよ!」
今吉との勝負を真剣に見ていた部員達もワイワイ彼女の周りに集まる。
ちょっとでいいからあのテクニックを教えて欲しい、と。
『あの、教えられる様な物ではないので。』
汗を拭いブラウスを羽織り、もうやらないアピールをした。
部員達に囲まれているアリスから離れた今吉は、そっと桃井に声を掛ける。
「撮れとるか?」
「はい、何枚か。でも…。」
「大丈夫やって。悪用するわけやないんや。」
あとでワシのスマホに送ってぇなと今吉はその日一番の黒い笑みを浮かべた。