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君と僕とが主人公LS

第20章 9月 II


桐皇学園第一体育館では、バスケ部の面々が自主練習に励んでいた。


「あれぇ〜?青峰は?」


監督から今日の練習の支持を聞いて来た今吉は、ぐるりと中を見る。
いれば一番目立つだろうエースの姿はそこには無く、またサボりか、と苦笑い。


「今日は大事なミーティングもあるしなぁ。しゃーない。」


探してきます!と言う桃井を止めた今吉は、スマホを手にした。
電話をしたってきっと青峰は出ないだろうに、と桃井は不安そうな顔をする。
しかし、今吉はちょっと操作しただけでポイっとそれをバックに投げ入れた。
それでいいのか?とみんな疑いの表情。


「今吉先輩、あの…。」

「あぁ、大丈夫やって。でも一つ頼んでもえぇ?」

「はい。何ですか?」


今吉は桃井に小声で作戦内容を伝える。
それを聞いた彼女は、あぁ!と表情を明るくした。


「ほなら、青峰が来るまで基礎練やるでぇ。」


今吉の言葉にうっす!と全員が声を上げた。
練習が始まる体育館を離れた桃井は女子更衣室へと向かう。
制服を脱いで体育の授業用のジャージとTシャツに着替える。
脱いだ制服をバッグに入れて、今吉に言われた場所へと向かった。
火神、黒子と別れたアリスは自宅とは逆方向に進む電車に乗っていた。
メッセージの送り主は今吉翔一。
呼び出された場所は桐皇学園最寄駅。
青峰でもない、と言った事は嘘ではないが、罪悪感がある。
メッセージの送り主が今吉でなければ、既読無視した。
しかし、あの黒い笑顔が頭に浮かびそう出来なかった。
車内アナウンスが目的の駅に到着する事を伝える。
正直、気は重い。
初対面の時の印象が印象だけに、今度は何に使われる事になるのだろうか。


「アリスちゃん!」

『さつきちゃん?』


着いたことを伝えようと改札を出た所で人の波から外れたアリスは、思っていた人とは違う彼女の登場に安心した様子。


「今吉先輩に頼まれて迎えに来たの。」

『やっぱりそうなのね。』

「なんかゴメンね。取り敢えず、これ。」


桃井は自分の制服が入ったバッグを彼女に差し出した。
他校生を校内に入れるには、こうするのが手っ取り早い。
駅の女子トイレで桐皇学園の制服に着替えるアリスは大きな溜息。


『なんでこんな事してるんだろ。』
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