第62章 【一松ルート】デカい猫保護しました
机に向かい合わせに座り合う。
まだ掃除はされず、事の経緯をカラ松に話す事になった。
「なるほどな、おそ松がスペアキーを返さないと」
カラ松はイタさが抜けて真剣な顔で腕組みをし話を聞いている。
「うん、一松と付き合い出してからそれを使う事はなくなったんだけどね、一松が返してって言っても返してくれないらしいのさ~」
「ケッ、なんに使うつもりかはわかりきってるけど……どうせナス子が一人の時を狙って結局は来るに決まってるし、狙うなら俺のいない間ってのもわかるよね。 鍵返さない辺り魂胆が見え見えなんだよあのゲス長男」
「そうか、それで一松はこの家に家出して永久就職を……」
永久就職ってそれもうハッピーウェディングなのでは?家出はわかる、そしてあのクソな長男からナス子を守りたいと言う一松の気持ちもわかる。
だが永久就職だけはまだ賛同できないし心の準備がない。
「あっははー、永久就職って言うと結婚するみたいだよねぇ! て、照れますなぁ~ハハハ!」
照れ隠しからかナス子は一松の背中をバンバンと叩く。
「………! だから痛いって」
カラ松の前でナス子が頭を掻いて俯くと、共に隣の一松も真っ赤になって爆発しそうになるゆでだこのようになった。
本当に、爆発すればいいのに……フッ。
言いかけた言葉を飲み込み、再度カラ松は目を瞑って考える。
しかし出てきた言葉はスラリと口から告げられる。
「そんなの力づくで奪い返せばいいんじゃないか?」
「「え」」
さすが、おそ松には塩対応のカラ松だ。
これが他の兄弟達が相手なら確実にそのような言葉は口に出さないだろう。
だが、おそ松は喧嘩が強いのかは謎だがおそ松に力づくで勝てるであろう人物はこの次男カラ松のみだ。
一松も、長男には適わない事など当に理解しているからこそ、その強行手段は選べずにいる。