第37章 危険な香りの温泉旅行 本日最終日

「あ～、惜しかったな十四松！あとちょっとだったのに！！じゃあ今度は俺がー」

　セクハラ、スケベ代表のおそ松が新しいミッション、即ち遊びを見つけて自分の手の平に拳をぶつけて自分を震い立たせた後、いざ挑まんとばかりに隔てに手を伸ばす。

　勿論、そんなおそ松のやる事など容易く想像出来るナス子は第二波の襲来に目を細めて桶を構えていた。

「覗きなんてやめろよ、いい大人になってさー！恥ずかしいと思わない訳？温泉入ってるんだから大人しく入れよ、もう」

「そういうチョロ松兄さんの方がそれどころじゃなくない？わっかりやすいなぁ」

　十四松があまりにも早く壁に登ってしまい、注意出来なかったチョロ松が今度は長男に注意しているが、トド松にある事を指摘され内またになり股間をおさえている。

「こ、これは……別にナス子とは関係ないから！セックスの話してたら朝見た映像思い出しちゃっただけで……とにかく関係ないから！！」

　チョロ松が自分を守りにいってしまい、聞く間もなくおそ松が壁に手をかけると、背後から今度はカラ松が止めに入る。

「おそ松、やめておけ。クールじゃないぜぇ？ただ嫌われるだけだぞ」

「……そうだよ、見ても得するもんじゃないって」

「一松、聞こえてるからねそれ！」

　覗かれたくないのに言われたら言われたで腹が立つのは何故だろう。
　普段なら壁を隔てていて聞こえない声量も今なら耳を完全にすませているから聞き取れる。
　まるでコチラも怪しい事をしている気分だ。

「別にい～じゃん！ちょっとくらい遊んだって！！」

「ダメだ、遊びと言うより完全に覗きだぞこれは。チョロ松も言っていたが大人しく入るんだ」

　カラ松とおそ松が攻防している声がナス子に聞こえて、これでもう心配はないだろうとホっと一息つくが、何かを打ちつけたような鈍い音がして慌ただしく首が動く。

「な、なに？！なんの音なの今のは……っ」