第106章 【一松ルート】花詰草
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「うぇーい、一松ぅ! 来ないかと思ったよぉ。やっぱり彼女より兄弟だよな! なぁ?!」
「……ウザ」
家に着いたらもう皆は外に居て俺を待っていた。
別にいいのに、って思うんだけど少し嬉しい気持ちはなくはない。
飲み屋で長男に肩に手を回され絡まれる。
コイツはマイペースでありながらも寂しがり屋だ。
俺はと言うと、彼女と約束もあるしあまり大量には酒は飲まないように気をつけてチビチビと酒を煽る。
「まさかラブタイム中の一松が素直にこちらに来るとはなぁ、少々驚きだぜぇ。少々な!」
だって来ないともっと面倒な事になるでしょ。
そう思っても、俺はクソ松の言葉は無視してどう早く切り上げてしまおうかと考えている。
ぶっちゃけ六人でこんな風に馬鹿やって騒ぐのも嫌いじゃない辺り俺って面倒臭い性格なのかとも思う。
「一松兄さんに電話した時はホントに来てくれるのか心配だったけど助かったよ〜! おそ松兄さんは言い出したら聞かないしさぁ」
俺以外のメンツは目の前のビール瓶を既に何本か空にしてもう出来上がりかけていた。
「あっはぁ、皆が二人ずつ増えて見えるー! 分身の術だねっ」
「十四松、それは酒が見せる幻覚だから……」
「ちょっと皆飲み過ぎじゃない? いくら毎日ニートで暇って言っても飲む量は考え……う゛」
あぁ、チョロ松のいつものパターン。
口押さえてトイレに猛ダッシュ…弱いならそんな皆に合わせて飲む必要ないのにさぁ。
誰一人としてアイツの心配をしない辺り、これが毎回だと言う事を物語っている。