第2章 薬
「あれ、一松じゃん。」
「……おそ松兄さん。」
パチ帰りなのか、何かの袋を提げてる。
「一緒に帰ろーぜ!」
「うん。」
猫を床に下ろして撫でる。
「じゃーね。」
その時、おそ松兄さんがなにか呟いた。
「いつも通りみたいで良かった。」
「なんか言った?」
「何にもー?」
怪しい……でもまぁいっか。
「あれ、カラ松じゃね?」
そう言っておそ松兄さんが指さした方を見ると、女の人に話しかけられているカラ松の姿が。
よりによっていつもの痛い服じゃない。
普通にしてればかっこいいな……
「付き合ってんのかね……」
付き合ってる?カラ松が?
あの女の人と?
『嫌だ』
せっかく自分の気持ちに気づけたのに。
頑張ろうって決めたのに……
「っえ!?どうした!?」
おそ松兄さんの声で我に返る。
「なにこれ……」
おれの目からは大量の涙が止まることなく流れていた。
「……。」
そんなおれをおそ松兄さんは何も聞かずにただただおれの頭を撫でてくれていた。
家に帰ると誰もいなかった。
カラ松はおれよりも先に帰ったはずだったのに。
やっぱりあれはカラ松だったんだ……。
「……一松、俺ちょっとコンビニ行ってくるわ。」
「いってらっしゃい。」
そして、家に一人になる。
カラ松のこと、諦めなきゃ。
……諦めたくないなぁ。
もう一度自分に会いたい……。
そう思って、また薬を二粒飲んだ。