第19章 発端
……一松に振られた。
こんなに辛いことあるか?
チビ太に誘拐された時よりもはるかに辛いぞ。
オレは一松の腕を掴んで家に向かった。
本当は手を繋ぎたかったが……腕で我慢だ。
恋人じゃないのに、手を繋ぐのはおかしいだろう?
「……寝ようか。」
「……うん。」
オレ達は広い布団に二人で横になった。
一松はオレに背を向けている。
……オレはあの言葉が一松の本心とは思えない……思ってない。
だけど、一松がオレのことを思ってしてくれたんだからそれに答えなきゃいけない気がした。
もう少し落ち着いたらもう一度告白しようと思う。
だから……その時まで待っててくれ。一松。
そしてオレは眠りについた。
「いーかげんに起きろクソ松!!!!」
「!?」
クソ松と呼ばれて目を覚ますとそこに居たのは一松ではなく、チョロ松だった。
あからさまにがっかりするオレを見てチョロ松が大きなため息をついた。
「もう3時なんだけど。」
「さんっ!?」
オレは時計を見た短い針がさんを指している。
本当だ……。
何時間寝たんだオレは……。
「早く十四松迎えに行くよ。」
「あ、ああ。」
オレは急いで支度を始める。
顔を洗って歯を磨いて、髪を整えて着替えて……。
そして外に出た。
「遅いよカラ松ぅ!」
「すまんっ!」
外ではもう、おそ松とチョロ松と……一松が待っていた。
オレがおそ松たちの後ろにつくと病院に向かって歩き出した。
するとおそ松のスマホが鳴り出した。
「ん?」
おそ松は画面を確認してオレ達の方に振り返った。
「ごっめーん!俺忘れ物しちゃった!先行っててー」
「……分かった。じゃ、先いくよ!」
「へーい!」
そう言って家の方向に走り出していった。