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蒼い月 番外編

第11章 幸せの黄色いブローチ


「ってことは、まだ生まれたばかり?」
「そうね...確か生まれて半年ぐらいだったかな。今がちょうど甘えたい盛りね」
「じゃあ、キャスケットにくっついてたのも...」
「甘えのサインね。たまに私が気付かないうちにくっついてきてることってよくあるから」

それこそ、キャスケットとか、ポケットの中とか...というフェリシアの表情はまるで母親そのものだったと、後に幸村は語る。

「そういえば、この前のラクライの一件で会ったキュワワーもタマゴから孵したんだよね?」
「そうよ」
「フェリって、一体どれくらいタマゴを孵してるんだい?」
「えーっと...20体ぐらい、かなぁ?」
「そんなに?!」
「ほとんどが旅の途中で知り合った人から譲り受けてるの。キララもその内の一体」
「成程。じゃあこの子も、何時かはバトルに出すのかい?」
「うーんどうだろ...私、ポケモン達には自分のやりたいことをやれって言ってあるから...もしかしたらバトルじゃなくてコンテストがいいって言い出すかもしれないし。それにまだキララは幼いし、ゆっくり決めればいいかなって」
「フェリらしいね」
「...ば、ちゅ~zzz」(...ん、むぅ~zzz)

いつの間にかキララはフェリシアの掌の上で眠ってしまっていた。

「...幸せの黄色いブローチ、私には要らない物なのかもね」
「どうしてだい?」
「だって、もうとっくに良縁に巡り会えてるもの」
「!」
「フィアンナがいて、パパがいて、キララや、他のポケモン達がいて。それに、」






「こうして、精市君達にも会えた」






「...っ!」
「これ以上良縁を望んだら、逆にバチが当たっちゃうかもね」

そういって笑うフェリシア。

「...そうだね。なら俺も要らないな」
「え?」
「一緒にバトルしたり、一緒に笑いあえる仲間がいれば、それだけで幸せなんだろうね」

幸村も笑った。
そしてこの一件以降、フェリシアと幸村の仲はより親密になるのだが、それをまたレギュラー陣にからかわれることになろうとはこの時の二人は全く思わなかったのだった。


「...ちゅ~...zzz~」(...むぅ~...zzz~)

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