第11章 幸せの黄色いブローチ
――――幸せの黄色いブローチ、それを着けていると良縁に巡り会えるという――――
「...っていうジンクスが最近流行ってるんだ」
「そーゆーことだったの」
最近、クラスメートの女子達がこぞって身に付けている黄色いブローチ。それが気になっていたフェリシアは同じクラスの幸村に聞いてみたのだ。
「フェリがニッポンに来る前に上映されていた映画のキーアイテムが黄色いブローチだったんだ」
「何処の地方も、女の子ってそーゆーの好きなのね...」
「ん?フェリ、それを知ってて着けてるんじゃないの?」
「何を?」
「黄色いブローチ。キャスケットに着いてるの」
「え?!」
慌ててフェリシアは被っていた自分のキャスケットを取った。よく見れば確かに、黄色いブローチのような物がくっついている。
「...精市君、」
「ん?」
「この子、ブローチじゃないよ」
「え?」
フェリシアはキャスケットからブローチ(仮)をそっと取ると、掌に乗せて幸村に見せた。
「よーく見てみて」
「ん?...あ!」
なんの変哲もないブローチのようだったが、よく見れば青い石が4つ程着いている。しかし、もっとよく見ると...
「これって...バチュル?」
「正解」
「ばちゅ~」(まま~)
フェリシアのキャスケットに着いていた黄色いブローチの正体、それは小さなバチュルだったのだ。
「この子も、フェリのポケモンなのかい?」
「えぇ。キララっていうの。イッシュの知り合いから貰ったタマゴから孵ったの」
「ばちゅちゅ~」(あそんで~)
フェリシアの掌の上にいるバチュル、基キララはフェリシアの指を甘噛みしたりして遊んでいる。