第10章 氷の王国 おまけ
※蒼い月本編、氷の王国のおまけです。
フェリシアの帰り際の会話。
「そー言えば、」
「何だ?」
「ジロー君、私のこと知ってたみたいだけど、何時知り合ったか、よくわかんなくて」
「あー...ジローが騒いどったときか...多分、4月ぐらいやったか?」
「そうだC~」
ジローの話を纏めると...
その日、家路に着いていたジローはバスの中で寝過ごしてしまい、何とか降りた場所は全く知らない街。つまり迷子になってしまっていたらしい。
しかし、元々楽観的な性格のジローは特に気にすることなく、ぶらぶらと近辺を散策していたという。
「ぶらぶらしてたらさ、俺の後ろからヤミカラスが飛んできたの。何か持ってるな~って思ったら、すぐ近くのブロック塀をフェリシアちゃんが走ってたんだC~」
...と言われて思い出す方もいるかもしれない。
ニッポン地方のリッカイ学園に通う事となったフェリシアのキャスケットを仁王のヤミカラスが盗み、そのままフェリシアがヤミカラスを追いかけナリタ空港からリッカイ学園まで走ったというあの出来事を(第11章 転校初日を参考)。
「やっと帰ってきたと思ったら、やけにテンションが高くなっとって、『どうしたんや?』って聞いたんや。そしたら...」
4月某日。
「ようジロー、やっと帰っt「あとべあとべ、聞いてよ!」あーん?」
ジローが迷子になるのは日常茶飯事なので特に心配はしてなかった跡部。しかし、戻ってきたジローがここまでテンションが高いのは珍しい。
「俺、チョーカッコいい女の子に会っちゃったんだC~!」
「あーん?女だと?」
「その子、凄いんだC~!ヒコザル肩に乗せて、ヤミカラス追っかけて塀の上をダッシュしてたんだC~!ニンジャみたいだったC~!」
「珍しいなジロー。お前がリッカイの丸井以外をカッコええって言うなんて」
「だってだって!それだけカッコよかったんだC~!」
「そーかそーか。ほな、ちょっとは落ち着きいやジロー」
「...んで、その女とは何処で会ったんだジロー?」
「......何処だっけ?」
「「オイ」」
...というのが、その日実際にあった会話である。