第9章 切原家の朝
IN赤也の部屋。
「失礼しまーす...,赤也君、起きてる?」
「ZZZ...」
「ヒコ...」(爆睡じゃん...)
赤也はフェリシアが声をかけても起きない。
「赤也君!起きて!」
「ヒコ!ヒコヒーコ!」(赤也!起きろ!)
「ZZZ...」
二人ががりででかい声で揺さぶっても起きない。
「...蓮二君、ポケモンの技使っていいって言ってたよね...」
「ヒコ、ヒコヒコッキャ?」(フェリ、私がやろっか?)
「ううん、フィーじゃなくてこの子にやってもらおっかなって」
「ヒコ...ヒコッキャ?!」(この子って...まさか?!)
「そのまさかだよ、出ておいで、シラユキ!」
「メーッノ!」
フェリシアが出したのは首に水色のリボンを巻いているユキメノコ。
「ヒコ、ヒコヒコヒーコ...?!」(ねぇ、シラユキを出したってことは...?!)
「そのまさかだよ...シラユキ、目覚ましビンタ!」
「メーッノォ!」(そーぉれっ!)
びったーん!
「いってえぇぇぇぇぇぇ!」
切原家に長男の絶叫が響き渡った。
「いったぁぁぁぁ...あれ?フェリさん?何でここに?」
「おはよ、赤也君。今何時か知ってる?」
「はぇ...?うえぇぇぇぇぇ?!」
現在時刻、9時15分。
「私外で待ってるから、急いで支度してきなね」
「はわわわ!はいっす!」
慌てて飛び起きた赤也を余所に、フェリシアはゆっくりと階段を降りていった。
そして5分後。
「フェリさん!お待たせしましたってうえぇ?!ウインディ?!」
自宅から飛び出して来た赤也は、目の前にいたウインディに驚いている。その背にはフェリシアが跨がっている。
「私の仲間のセンリよ。んで赤也君、驚いているところ悪いけど」
「え?」
がしっ
フェリシアは赤也の腕を掴み、センリと呼ばれたウインディの背に引き上げ、自分の後ろに乗せた。
「センリ、スクールまで超特急でお願い!」
「ガウ、アウオーン!」(おう、任せとけ!)
「赤也君、しっかり掴まってて!」
「は、え、うわぁぁぁぁ!」
「ウオーーン!」(いっくぜぇぇぇぇ!)
フェリシアの言葉通り、全力で走り出すセンリ。
さて、二人は集合時間に間に合うのだろうか...!?
答えは本編第20章『リッカイジム戦』で。